スギ花粉症、ダニアレルギー性鼻炎の舌下免疫療法について

アレルギー性鼻炎とは、スギ花粉やダニ、ハウスダストなどの抗原が鼻腔内に侵入してアレルギー反応を引き起こして、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの症状がでる病気です。花粉が飛散する季節に症状がでる季節性アレルギー性鼻炎と年中症状が出る通年性アレルギー性鼻炎があります。

季節性アレルギー性鼻炎の代表としてはスギ花粉症があり、通年性アレルギー性鼻炎の代表としてはダニによるアレルギー性鼻炎があります。アレルギー性鼻炎は生命に関わることはありませんが、生活の質(quality of life ; QOL)を著しく低下させます。

2014年10月にスギ花粉症の舌下免疫療法治療薬としてシダトレンが発売され、2015年12月にはダニによるアレルギー性鼻炎に対してミティキュアが発売されました。当院耳鼻咽喉科でもシダトレンの発売以来、舌下免疫療法を希望者に対して行ってきました。

舌下免疫療法とは、アレルギー性鼻炎の原因となる抗原を毎日少量から舌の下に投与して体を抗原に慣らし、アレルギー症状を軽減して使用する薬の量を減らすことができる治療法です。中には症状が全く出なくなる方もいます。従来の抗アレルギー薬やステロイド点鼻薬は症状を抑える治療ですが、舌下免疫療法はアレルギーに対して唯一根治が期待できる治療法です。また、喘息発症や新規抗原への感作を予防できるという効果があることも報告されています。治療には3~5年かかり、7~8割の方に何らかの効果が現れるとされています。

スギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎はくしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの鼻症状だけでなく、睡眠障害を起こすことが知られています。舌下免疫療法を行うことで鼻症状だけでなく、睡眠障害も改善できることが分かってきました。スギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎で悩んでいる方には是非お勧めしたい治療です。

なお、従来のシダトレンは液体状の薬で12歳以上が適応だったのですが、2018年からシダキュアという錠剤が発売されて5歳以上から治療を行うことができるようになり、現在ではシダキュアが用いられるようになっています。

また、ダニアレルギー性鼻炎のミティキュアも発売当初は12歳以上が適応でしたが、2018年から5歳以上の小児にも適応となりました。

スギ花粉症に対する舌下免疫療法は6月から12月までに治療を開始することになります。一方、ダニアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法は治療開始期間に制限はありません。

スギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎でお悩みの方はぜひ一度当院耳鼻咽喉科を受診してください。