JA高知病院のあゆみ

設立の動機

第一次欧州大戦後の世界的経済恐慌からは農村も免れることができなかった。特に、庶民大衆には、昭和初期よりの不況は厳しく、社会的保障制度のなかった当時においては病気になっても医師にかかれぬ人々もいた。
又、治療費は労働力を失った上での支出であり、医療費の負担は重く、中産階級以下の者は手をこまねいて病の重くなるのを傍観せねばならない悲惨な状態であった。
当時は、“ビニール園芸”等の言葉さえもなく現在のような多角経営に比較し、収入の少ない米作地帯であった香長平野の農民は貧苦に悩んでおり、病人が出れば一家の経済は破綻し、高利債に悩まされ、時には祖先伝来の田畑まで手離さねばならなかった。
このような悲惨な状態から農村を救済するため自衛の手段として農民の手による病院の設立が計画された。

設立

香長病院完成(昭和6年)

昭和4年10月、長岡郡農会並びに農会技手会において病院の設立を企画し、同年12月、長岡、香美両郡の各町村長、産業組合長、農会長等が参集して設立総会を開催し、設立を議決した。直ちに出資の募集をなし、昭和5年9月16日、香美郡・長岡郡・土佐郡布師田村を区域として産業組合法による有限責任香長利用組合を設立し、昭和6年3月1日、野田村(現在南国市)に香長病院が開設された。

設立後の状況

昭和11年3月28日、旧野田村他18か町村の隔離病舎を併設した。更に昭和15年には、区域を32か町村に拡大し、同時に隔離病床13床の増設を図った。昭和18年、高知県信用販売購買利用組合聯合会に統合されて、「健民香長病院」となったが、同年12月、農業団体統合により高知県農業会に移管された。 昭和23年8月、高知県農業会の解散により、高知県厚生農業協同組合連合会の経営することとなった。

高知県厚生農業協同組合連合会の設立

香長病院

高知県農業会の解散に伴い、厚生連の設立が昭和23年8月14日に認可され、「香長病院」・「高陵病院」(昭和4年8月10日「昭和病院」として現在の須崎市に開設)・「東津野・加茂両診療所」を経営し、文化事業として、「家の光」「地上」「保健」の各誌と農業新聞を取り扱い、更に文化映画の供給を行うこととなった。

高知県厚生農業協同組合連合会発足後の概況

昭和23年12月 中村診療所開設
昭和24年2月 赤野診療所開設
昭和24年3月 岡の内診療所開設(物部村)
昭和26年8月 公的医療機関の指定を受ける
農林漁業団体再建整備法の適用を受ける
昭和27年 香長病院へ林野庁共済組合結核病棟20床を併設
家の光、地上、農業新聞等の各誌(紙)を指導農協連(現中央会)へ移譲
昭和27年8月 中村診療所を病院に昇格
昭和28年 香長病院の本館増築(52床)
第2病棟(46床)、第3病棟(88床)を改築
昭和28年6月 東津野、加茂、赤野、岡の内診療所を廃止
昭和29年 香長病院に結核病棟30床(123.5坪)を増築
昭和30年 農林漁業団体再建整備を完了
昭和32年4月 中村病院を譲渡
昭和32年6月 林野庁結核病棟を譲り受ける
昭和33年3月 本部事務所を香長病院内に移転
農林漁業団体整備促進法の指定を受ける
昭和34年6月 准看護婦養成所を香長病院に開設
昭和35年8月 本部事務所を高知市に移す
昭和40年3月 農林漁業団体整備促進計画を達成
香長病院准看護婦養成所を閉鎖
昭和40年4月 高陵病院を委譲
昭和43年3月 香長病院が総合病院として承認される
昭和45年10月 「高知県保健資材農協連」の設立により、家庭薬・防疫薬剤等の資材事業を同連合会に移譲
昭和46年4月 「香長病院」を「高知県農協総合病院」と名称を変更して南国市大埇甲(県農業試験場跡地)へ救急病床30床を増設の上移転新築し、業務を開始
診療科目 内科、小児科、外科、整形外科、産婦人科、耳鼻咽喉科、眼科
病  床 一般病床 153床
結核病床 38床
伝染病棟 20床、計211床
南国市外9か町村伝染病院組合により伝染病棟を移転改築(農協総合病院へ併設)
昭和46年8月 本部事務所を農協総合病院内(南国市)に移転
昭和47年4月 「農協総合病院付属准看護学院」を開設
昭和50年4月 保健予防活動を強化するため、健康管理課を新設
昭和54年4月 健康管理活動の充実強化をはかるため、「総合農村健康管理センター」を設置
昭和55年6月 「総合農村健康管理センター」の新築落成
昭和59年10月 別館病棟(内科、結核、伝染病棟)・本館改造工事完成、駐車場(職員用)を整備
昭和61年7月 結核病床25床を一般病床に転用
病  床 一般病床 178床
結核病床 13床
伝染病棟 20床、計211床
昭和62年4月 全科複数医師体制を確立
平成2年9月 農協総合病院本館改造(3東病棟・3西病棟の統合その他)
平成5年8月 農協総合病院産婦人科体外受精開始
平成12年3月 「農協総合病院付属准看護学院」を廃止
平成14年4月 施設の老朽化に伴い、「高知県農協総合病院」を「JA高知病院」と名称を変更し、南国市明見字中野(現在地)へ移転新築、業務を開始
診療科目 内科、呼吸器科、循環器科、消化器科、小児科、外科、整形外科、産婦人科、脳神経外科、耳鼻咽喉科、眼科、放射線科、麻酔科、リハビリテーション科
病  床 一般病床 178床
「総合農村健康管理センター」を「JA高知健診センター」と名称変更し、JA高知病院内に開設
平成15年11月 臨床研修病院として指定を受ける
平成16年8月 財団法人 日本医療機能評価機構の認定を受ける(認定第JC281号・一般病院)
平成18年4月 介護老人保健施設「JAいなほ」を南国市明見八反田に開設
入所定員 80床
通所定員 40名
居宅介護支援事業所「JAみのり」を併設
平成19年4月 形成外科・皮膚科を開設
平成19年6月 泌尿器外来を開始
平成20年7月 DPC(診療群分類別包括評価)の導入
平成21年6月 一般病棟入院基本料7対1施設基準取得
平成23年4月 介護老人保健施設「JAいなほ」通所定員変更
指定基準40名から50名へ定員数変更
平成26年4月 一般病棟入院基本料10対1施設基準へ変更
平成26年10月 地域包括ケア病床の開床(25床)
平成28年3月 経営管理委員会制度の導入
平成28年8月 地域包括ケア病棟(34床)の運営開始
平成29年4月 地域包括ケア病棟の増床(58床)
令和5年3月 訪問看護ステーション「JAおむすび」を開設